第2回 日本生殖医療心理カウンセリング研究会 ( JAPCRM ) 学術集会 開催報告
2005年 1月23日 ( 日 ) 日本都市センター・コスモスホールで第2回 日本生殖医療心理カウンセリング研究会が、医師・看護師、生殖医療従事者・心理士・学生など総勢262名の参加の下で開催されました。
定時の午前9時に大会長の高橋克彦先生より開会のご挨拶をいただきました。「心のケアの必要性・重要性については誰もが感じているが、十分な方向性を得ていない。今回の学術集会では患者さんがどのようなカンセリングを求めているか、という点について考える機会を得て、最新の知見と意見交換に主眼をおいた会にしたい」と会の主旨をお話されました。続いて教育セミナーシリーズでは黒田優佳子先生の座長で、宇津宮隆史先生より「生殖医療の現状と問題点、最新トピックス」についてお話いただきました。次に小田原靖先生の座長で平山史朗先生より「生殖心理カウンセリングの現状と問題点」についてお話いただきました。
Coffee Breakの15分間は5階のポスター会場でdiscussionしました。今回は初めての試みにもかかわらず、18題のポスター発表がありました。大勢の参加者が少し手狭な会場に集まり、質問が殺到し、熱気を感じました。
午前10時50分より森本義晴先生の座長のもと、松本亜樹子氏に「不妊患者が望むカウンセリングとは」について特別講演をしていただきました。自分の体験からはカウンセリングを必要と感じたことは無くて、仲間に助けられたことからピアカウンセリングの重要性を話されました。11時30分より30分間は全員、5階の会場に集合し、ポスターセッションに参加しました。12時からはランチョンセミナーが行われました。鈴木秋悦先生の座長のもと、堂園凉子先生が「心を励ます処方箋」と題して、日常の診療に対しての思い入れを熱弁されました。15分間のCoffee Breakの後、森崇英先生の座長で、大日向雅美先生より「カウンセラーから見た日本の生殖医療」について参加者にわかりやすく、納得かつ共感を呼ぶお話をいただきました。
13時45分からはパネル・ディスカッションで高橋克彦先生のコーディネーターのもと、3名の不妊体験者に「パネル・ディスカッション 不妊体験者が期待するカウンセリング ~ 当事者の声を聞く ~ 」と題して、実体験をお話しされました。なかなか人前でお話しするのをはばかれる中で、体験者から生の声をお聞ききすることができ貴重な機会をもつことができました。3名の体験者 もるちゃん、ゆいさん、ルルさんには苦しい体験談を搾り出すようにお話いただき、我々医療関係者の至らなさを痛感するとともに、このような会でお話いただいたことに対し、心より感謝申し上げます。討論者として心理士 増田千景、医師 京野廣一、看護師 出口美寿恵の各先生より、各々の立場からコメントをしていただきました。結論として患者の求めるニーズにあったカウンセリングが必要と感じました。また、会場からは治療をやめ、提供卵子や養子の話を患者にする時期について質問がありました。数箇所の医師から回答があり、年齢や治療回数で決める施設や45歳以上でもインフォームド・コンセントのもと、患者が納得・理解した上で、年齢の上限を決めないで治療する施設もあり、一定ではありませんでした。
Coffee Breakの後、優秀ポスターの2名 進藤洋司氏には「不妊体験に伴う女性のアイデンティティの変容」を、安田裕子氏には「不妊治療への関わり方に影響を及ぼす要因について ~ 治療を継続し、やめるということに着目して ~ 」をプレゼンテーションしていただき、久保春海教授より表彰ならびに記念品を授与されました。
閉会の辞を代表世話人の久保春海教授よりお話いただきました。最後に、平成18年3月26日 ( 日 ) に開催予定の第3回 JAPCRM・学術集会の大会長 宇津宮隆史先生より次回開催のご挨拶いただいて、第2回 JAPCRM・学術集会は閉会となりました。